相続で受け継いだ空き家や、転勤・施設への入居などで長く使っていない家を「寄付して手放せないか」と考えている方もいるでしょう。
空き家は、自治体や団体、個人などに無償で譲渡できます。ただし、寄付を受け入れてくれる相手を見つける必要があり、希望すれば必ず手放せるわけではありません。
この記事では、空き家の寄付先として検討できる相手や、自治体が寄付を受け入れにくい理由、寄付先が見つからないときの対処法を紹介します。
空き家の寄付先としては、自治体、NPO法人などの団体、個人・親族などが考えられます。また、空き家バンクを利用して、無償譲渡の相手を探す方法もあります。
ただし、いずれも「空き家なら何でも引き取ってもらえる」というわけではありません。物件の状態や立地、利用目的などによって受け入れの可否が変わります。
市区町村などの自治体に空き家を寄付する方法です。
ただし、自治体は寄付された土地や建物を管理する必要があるため、単に「不要だから引き取ってほしい」という理由だけでは受け入れてもらいにくいのが実情です。
防災広場や公園、公共施設など、自治体側に具体的な利用目的がある物件であれば、寄付を受け入れてもらえる可能性があります。
自治体への寄付を考えているなら、まずは空き家がある市区町村の担当窓口に相談してみましょう。寄付の可否だけでなく、活用方法について相談できる場合もあります。
地域活動を行っているNPO法人や一般社団法人などに、空き家を無償で譲渡する方法もあります。
たとえば、地域の交流拠点や子どもの居場所、シェアスペースなど、団体の活動場所として活用できる物件なら、譲渡先が見つかる可能性があります。
ただし、団体側にも活動内容や予算、物件の立地・状態などの条件があります。まずは、その団体が物件を必要としているかを確認してから話を進めましょう。
地域の社会福祉協議会や商工会などに相談し、空き家を活用できそうな団体を紹介してもらう方法もあります。
親族や近隣の人など、特定の個人に空き家を無償で譲る方法もあります。
たとえば、隣地の所有者であれば土地をまとめて利用できるため、空き家や土地の活用方法を見つけやすくなるケースがあります。
個人に譲る場合は、贈与契約書の作成や所有権移転登記などの手続きが必要です。また、受け取った側に贈与税がかかることもあるため、税金についても事前に確認しておきましょう。
登記手続きが複雑な場合は、司法書士に相談するとスムーズです。
自治体などが運営する空き家バンクを利用して、空き家の譲渡先を探す方法もあります。
空き家バンクは、空き家を「売りたい・貸したい」所有者と、「買いたい・借りたい」人をつなぐ仕組みです。自治体によっては、無償譲渡の物件を掲載できる場合もあります。
空き家バンクを利用できるかどうかや掲載条件は自治体によって異なるため、まずは物件がある自治体に確認しましょう。
相続した土地であれば、「相続土地国庫帰属制度」を利用して国に引き取ってもらう方法もあります。
ただし、これは空き家そのものを国に寄付する制度ではありません。建物などがある土地は原則として対象にならないため、建物を解体して更地にするなど、一定の要件を満たす必要があります。
また、境界が明らかでない土地や、担保権などの権利が設定されている土地など、対象外となる土地もあります。
申請時には土地1筆につき1万4,000円の審査手数料が必要です。承認された場合は、10年分の土地管理費相当額の負担金も納めます。
空き家の寄付先として自治体を考える方は多いものの、自治体への寄付は簡単ではありません。
その大きな理由は、自治体が寄付された空き家や土地を管理し、必要に応じて修繕や解体などの対応をしなければならないためです。
自治体が空き家を所有すると、建物や敷地の維持管理も自治体が担うことになります。
建物の修繕だけでなく、庭木の剪定や草刈り、老朽化した建物の解体などにも費用がかかります。
とくに具体的な使い道がない空き家を引き取ると、自治体に管理の負担だけが残ってしまいます。そのため、寄付を受け入れるかどうかは、物件の状態や立地だけでなく、公共施設や公園などとして活用できるかどうかも含めて判断されます。
自治体が寄付を受け入れる場合は、公共のために活用できることがポイントになります。
たとえば、次のような用途です。
ただし、実際の受け入れ条件は自治体によって異なります。「寄付したい」と思ったら、まずは空き家がある自治体に相談して、受け入れの可能性を確認しましょう。
寄付先が見つからない場合は、無理に寄付にこだわる必要はありません。売却や賃貸、管理など、空き家を手放したり活用したりする方法もあります。
空き家バンクは、無償譲渡だけでなく、売却や賃貸にも利用できます。
通常の不動産市場では買い手や借り手を見つけにくい空き家でも、地域の空き家を探している人に情報を届けられるのがメリットです。
空き家バンクの利用条件や登録方法は自治体によって異なるため、まずは所在地の自治体サイトを確認してみましょう。
「古くて売れない」「長く空き家になっている」といった物件でも、不動産買取業者に売却できる場合があります。
買取では、不動産会社が買主となるため、仲介による売却とは手続きの流れが異なります。売却を急いでいる場合や、仲介で買い手が見つからない場合は、買取も選択肢に入れてみましょう。
業者によって査定額や対応できる物件が異なるため、複数の業者に査定を依頼して比較するのがおすすめです。
「今すぐ手放すのは迷っている」という場合は、空き家を賃貸する方法もあります。
定期借家契約なら、契約期間をあらかじめ定めて貸し出せます。将来的に自分で使う予定がある場合など、一定期間だけ貸したいときに利用しやすい仕組みです。
売却や寄付を急がず、家賃収入を得ながら今後の方針を考えたい方は、リロケーションを含めた賃貸活用を検討してみましょう。
「寄付するか、売却するか、貸すかをまだ決められない」という場合は、留守宅管理サービスを利用して空き家を適切に管理する方法もあります。
定期的な巡回や換気、通水、郵便物の確認、外壁・屋根などの点検を依頼すれば、遠方に住んでいても空き家の状態を確認できます。
すぐに処分方法を決めるのではなく、管理しながら今後の方針を考えるという選択肢もあります。
空き家は放置するほど老朽化が進み、売却や賃貸などが難しくなることもあります。処分や活用方法を決めるまでの間も、適切に管理しておきましょう。
空き家は自治体や団体、個人などに寄付できますが、受け入れ先が見つかるとは限りません。特に自治体への寄付は、公共利用の目的や維持管理の負担などを踏まえて判断されます。
寄付が難しい場合は、空き家バンクでの売却・賃貸や不動産買取、定期借家契約、留守宅管理サービスなども検討してみましょう。
大切なのは、寄付だけに絞らず、自分の状況に合った方法で空き家の今後を決めることです。まずは自治体や不動産会社などに相談し、利用できる選択肢を確認してみてください。
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