海外赴任が決まると、引っ越しの準備や生活拠点の整備などで忙しくなりますが、忘れてはいけないのが日本に残る不動産の税金です。たとえ日本を離れても、持ち家や土地を所有している限り、固定資産税の支払い義務は続きます。もし何の手続きもせずに出国してしまうと、納税通知書が届かない、支払いが遅れて延滞金が発生するなど、思わぬトラブルにつながることも…。
ここでは、海外赴任が決まったときに確認しておきたい「固定資産税の支払いや「納税管理人の手続き」について、わかりやすく解説します。
海外赴任などで日本を離れ、1年以上海外に住むと「非居住者」とみなされます。しかし、国内に所有している不動産がある限り、固定資産税の納税義務が課せられます。
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物などの資産を所有している人に課される地方税です。課税対象となるのは、住宅・店舗・倉庫といった建物や、その敷地となる土地など。納税先は不動産が所在する市町村(東京都23区の場合は東京都)で、自治体が定めた「固定資産税評価額」に1.4%(標準税率)を掛けて算出されます。
また、都市部の市街化区域にある土地や建物には「都市計画税」もかかります。こちらの税率は上限0.3%で、都市計画事業などに使われます。
納税通知書は毎年5月頃に発送され、年4回に分けて納付するのが一般的です。海外赴任中でも、この納税義務が免除されることはありません。
「海外に住んでいるから関係ない」と思い込んで納付を怠ると、延滞金や督促状の送付、最悪の場合は財産の差し押さえなどのペナルティを受けることもあります。赴任前の段階で、税金の支払い体制を整えておくことが大切です。
海外赴任中は、役所から届く納税通知書を受け取れないうえ、金融機関などで支払い手続きを行うこともできません。そのため、日本国内に「納税管理人」を選任し、代理で手続きを行ってもらう必要があります。
納税管理人は、次のような役割を担います。
納税管理人は、国内に住所がある人なら誰でもなることができます。親族や友人に依頼するケースが多いですが、親族が高齢だったり、対応が難しい場合は、税理士などの専門家に依頼するのも安心です。
納税管理人を定めていないと、通知書が届かず納税が遅れるリスクがあります。出国後に延滞金が発生したり、知らないうちに督促状が送付されたりする事例もあるため、出国前に必ず手続きを済ませておくことが大切です。
納税管理人を選ぶだけでは手続きは完了しません。出国前に、不動産が所在する市町村の役所へ「納税管理人申告書」または「納税管理人承認申請書」を提出する必要があります。
ほとんどの自治体では、公式サイトからこれらの書類をPDFでダウンロードできます。書類には、納税義務者本人と納税管理人双方の署名や押印が必要で、提出は出国前に済ませておくのが原則です。
また納税管理人になる人は、書類の受け取りや支払いなどの責任を一時的に引き受ける立場になります。承諾を得ずに一方的に届出をしてしまうと、トラブルになることもあるため、必ず本人に了承を取ったうえで手続きを進めましょう。
納税管理人を届け出ると、その後は納税通知書が管理人宛てに送付されます。海外赴任中は、納税管理人が代理で納付するのが一般的。支払い方法は金融機関の窓口や口座振替など、通常と同じ方法で対応できます。
納税管理人に支払いを任せる場合は、あらかじめ支払時期を伝えておくと安心です。固定資産税は年4回の分割払いが基本ですが、自治体によって納付期日が異なるため、スケジュールを共有しておくとトラブルを防げます。
最近では、海外にいても自分の口座から自動で引き落とされる「口座振替」や、オンラインで納付できる「クレジットカード払い」に対応する自治体も増えています。ただし、これらの方法を利用する場合でも、納税管理人の届出は必要です。また、利用できる支払い方法は自治体によって異なるため、出国前に公式サイトや窓口で確認しておきましょう。
海外赴任中に固定資産税を滞納すると、延滞金の発生や督促状の送付など、国内にいる場合と同様のペナルティが課されます。納税管理人を指定していないと通知を受け取れず、滞納に気づかないまま放置してしまうおそれもあるため注意が必要です。
納付期限を過ぎると、翌日から延滞金が発生します。延滞金の上限はおおむね年7.3%ですが、1か月を超えると最大14.6%まで上がることもあります。
滞納が長引けば金額が膨らみ、帰国後にまとめて支払うケースも少なくありません。
滞納が続くと、自治体から督促状が送付されます。督促状が届いてから10日を過ぎても納付がない場合、地方税法に基づき財産の差押えが行われることがあります。対象となるのは不動産に限らず、預金や車など、換金可能な財産全般です。
納税管理人を選任していないと、こうした通知を受け取れず、知らないうちに滞納が進んでしまうこともあります。出国前に手続きを済ませておけば、こうしたトラブルを未然に防ぐことができます。
海外赴任中は、リロケーション(転勤や赴任期間中の一時的な賃貸)を活用するのもひとつの方法です。リロケーションとは、一定期間だけ自宅を貸し出す仕組みで、赴任期間が終わればスムーズに自宅へ戻ることができます。
リロケーションで得た家賃収入は、住宅ローンや固定資産税の支払いに充てることができ、空き家のまま維持費だけがかかるよりもずっと経済的です。
また入居者が生活していることで、日常的に換気や水回りの使用が行われ、住宅の劣化を防げる点も大きなメリット。空き家のままにしておくと放火や不法侵入といったトラブルのリスクが高まりますが、賃貸に出しておけば防犯面でも安心です。
ただし、家を貸すことで発生する家賃収入(不動産所得)には所得税がかかるため、確定申告が必要です。この場合、所得税の手続きでも「納税管理人」を選任する必要があります。固定資産税と同様に、納税管理人が税務署に書類を提出し、確定申告や納付手続きを代理します。
確定申告の書類作成は税理士しか行えないため、不動産所得が発生する場合は税理士への依頼が確実です。手続きが滞ると、延滞税や無申告加算税が課されるおそれもあるため、税理士やリロケーション会社などの専門家のサポートを受けながら、適切に対応しましょう。
海外赴任中も、日本国内に不動産を所有している限り、固定資産税の納税義務は続きます。本人が海外にいる間は手続きが難しいため、出国前に必ず「納税管理人」を選任して届け出ておくことが大切です。
納税管理人をきちんと定めておけば、納付遅れや延滞金の心配がなく、安心して海外生活を送れるでしょう。
また、自宅を賃貸に出す場合は、家賃収入に対する確定申告も必要になります。税理士やリロケーション会社など、専門家に相談しながら準備を進めておくと安心です。
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