海外赴任の可能性がある仕事に就いている場合、赴任期間中も住宅ローン控除が適用されるのか気になっている方もいるでしょう。海海外赴任中でも、一定の条件を満たせば住宅ローン控除が適用されます。また、帰国後に再適用を受けることも可能なため、節税メリットを無駄にしたくないという方は住宅ローン控除に関する知識をしっかりと押さえておきましょう。
住宅ローンの返済中に海外赴任が決まったとしても、単身赴任かつ条件を満たしていれば住宅ローン控除を受けられます。海外赴任中でも住宅ローン控除を受けられる条件は、「2016年4月1日以降に住宅を取得している」「持ち家に生計を一にしている親族が住み続ける」の2つ。生計を一にしているとは、生活費を共有している状態を指し、親族には「夫(妻)」「子ども」「父親」「母親」が該当します。
ただし、二世帯住宅で光熱費や食費などの生活費を別々に負担している場合や、内縁関係のパートナーは住宅ローン控除の対象外となるため、注意しましょう。同じ家で一緒に暮らしていなくても、一人暮らしの子どもや離れて暮らす両親に仕送りをしていて生活費を負担している場合は、生計を一にしている親族として認められます。
住宅ローン控除対象の親族に該当するかどうか不安な場合は、管轄の税務署に相談しましょう。
転勤や海外赴任が決まったら・・・
マンションや持ち家の留守宅を
どうする?
住宅ローン控除を受けるには、控除を受ける年の12月31日まで納税者本人または生計を同じくする配偶者や扶養親族などが、対象住宅に居住していないといけません。海外赴任にあたって家族全員で引っ越すとなると、住宅ローン控除の対象住宅に居住者がいなくなるため、その年の控除は受けられなくなってしまいます。
家族全員で海外赴任先に引っ越す場合でも、住宅ローン控除の残存期間に帰国して再居住するのであれば、住宅ローン控除の再適用を受けられます。納税者本人が帰国しなくても、生計を共にする親族が帰国して再居住すれば、住宅ローン控除を再適用できます。
ただし、控除が再適用されるのはあくまでも残存期間の範囲で、控除を受けていなかった期間分が延長されることはありません。また、再適用するには手続きが必要となります。住宅ローン控除の再開時期は、海外赴任中に持ち家を空き家にしていたか、賃貸に出していたかによって異なるため、注意が必要です。
海外赴任中に持ち家を空き家にしていた場合、住宅ローン控除を再適用できるのは「再入居を開始した年」からです。
たとえば控除期間が10年で4年目に海外赴任が決まり、7年目に帰国した場合、残存期間の7年~10年目までは住宅ローン控除を再適用できます。7年目の住宅ローン控除を受けるには、12月31日までに再入居して暮らし始めるようにしましょう。
海外赴任中に持ち家を賃貸に出していた場合、住宅ローン控除を再適用できるのは「再入居を開始した翌年」からです。空き家にしていた場合と違って、再入居したその年に住宅ローン控除を再開することはできません。再開時期が1年変わることになるため、その点を踏まえたうえで賃貸を検討する必要があります。
賃貸に出すと住宅ローン控除の再開時期が1年遅れることを考えると、「空き家のままにしておいたほうがお得なのでは?」と考える方もいるでしょう。
ただ、海外赴任の期間が2年以上の長期に渡る場合は、賃貸(リロケーション)に出すのがおすすめです。賃貸に出すと家賃収入を得られるため、住宅ローンの返済や維持管理の費用負担を大きく軽減できます。また、長く空き家にしていると湿気や埃などで家が傷みやすく、放火や不法侵入などのリスクが高まりますが、賃貸に出しておけば人が住んでいないことによる家へのダメージや防犯上のリスクをある程度回避することが可能です。
賃貸に出す場合は、一般的な賃貸契約ではなく、リロケーション(定期借家契約)を検討するのがおすすめです。リロケーションなら契約期間が終了した後、確実に退去してもらえるため、海外赴任中にだけ賃貸に出したい場合に適しています。
賃貸に出すと住宅ローン控除の再開時期が遅れますが、入居者が見つかれば家賃収入でカバーできるため、経済的メリットを重視するなら賃貸に出すのがおすすめです。
住宅ローン控除とは、住宅を購入する際に金融機関などから借入をした人が、経済的な負担を軽減するために国が定めている税制上の優遇措置のことです。具体的には、年末時点で残っている住宅ローンの残高に対して一定の割合が控除され、所得税や住民税から差し引かれる仕組みとなっています。
この制度を利用することで、実質的にローン返済に伴う利息負担が軽くなり、家計の負担を緩和できるというメリットがあります。控除の適用期間は通常10年から13年であり、控除率は主にローン残高の1%が一般的ですが、住宅の種類や性能、購入時期によって条件が異なる場合もあります。
なお、この制度を受けるためには、住宅が自己居住用であること、新築または一定基準を満たした中古住宅であること、また住宅の広さが一定以上であることなど、所定の要件を満たす必要があります。
また、住宅ローン控除を受けるためには、原則として初年度は確定申告が必要ですが、給与所得者の場合、2年目以降は勤務先で行われる年末調整で手続きが可能となっています。
近年では、省エネや環境性能に優れた住宅を購入した場合には、より高い控除率や長期の控除期間などの優遇措置が設けられており、住宅取得者にとって有利な条件が整備されつつあります。
ただし、控除額には年間の上限が設定されており、納税額が少ない場合には控除の恩恵を最大限に享受できないこともあります。そのため、住宅ローン控除の利用を検討する際には、自身の収入や税負担との兼ね合いをあらかじめ確認しておくことが望ましいでしょう。
総じて、住宅ローン控除は住宅購入者に対し、経済的な支援を目的として設けられた重要な制度であり、購入計画を立てる際には十分に理解し、活用することが推奨されます。
令和7年度税制改正において、住宅ローン減税の制度内容が変更されました。
<令和7年度税制改正のポイント>
以下のとおり、令和6年と同様の措置を引き続き実施。
※[1]年齢19歳未満の扶養親族を有する者
※[2]年齢40歳未満であって配偶者を有する者又は年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者が、住宅ローン減税の適用を受ける場合([1]又は[2]に該当するか否かについては、入居した年の12月31日時点の現況による)が対象となります。
引用元:国土交通省:住宅ローン減税(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html)
海外赴任に伴って住宅ローン控除を引き続き受けるためには、一定の要件を満たした上で、特別な手続きを行う必要があります。通常、住宅ローン控除は自らが居住する住宅に対して適用される制度ですが、やむを得ない事情で一時的に海外赴任となった場合には、引き続き控除を受けるための措置が定められています。
具体的には、まず「転勤等のやむを得ない事情による転居」であることが条件です。この条件に当てはまるかどうかは、勤務先から発行される海外赴任に関する証明書(転勤命令書や赴任辞令)などで証明します。さらに、赴任期間中に自宅を他人に貸さず、空き家の状態にしておく必要があります。つまり、他人に貸し出して賃料を得る場合は控除の適用ができません。
赴任期間中は、国内に住民票がない状態になるため、年末調整による住宅ローン控除の適用はできず、毎年確定申告を行うことになります。海外赴任中は税務署と連絡を取り、確定申告の手続きを忘れずに行い、控除を継続して受けられるようにすることが大切です。
海外赴任が終わり、日本に帰国後、再び住宅に居住を開始した際には、改めて税務署にその旨を報告し、再び年末調整で控除が受けられるよう手続きをする必要があります。
A1. 購入後一度も居住しないまま海外赴任になった場合、帰国後に住宅ローン控除を適用することは原則できません。
住宅ローン控除の基本的な要件の一つに、「住宅の引き渡しから6ヶ月以内に、納税者本人または生計を一にする親族がその住宅に居住すること」が定められています。この要件を満たさなければ、住宅ローン控除は適用対象になりません。
したがって、新築住宅の完成前や中古住宅の引き渡し前に海外赴任が決まり、ご本人もご家族も一度もその住宅に住むことができなかった場合、将来的に帰国して住む予定があったとしても、購入した住宅は控除の対象外となってしまいます。
このような状況に陥ってしまった場合は、住宅ローン控除の恩恵を受けられないことを前提に、その住宅を賃貸に出すなど、別の資産運用を検討しましょう。
A2. 「再入居の翌年」になる理由は、税法上の「居住」の考え方と、賃貸によって得られる「不動産所得」があることを考慮しているためです。
住宅ローン控除はあくまで「自己居住用」向けの優遇措置です。賃貸期間中は事業用とみなされ家賃収入があるため、再入居の翌年から控除が再開されます。この猶予期間のずれは控除総額にも影響するため、特に海外赴任期間が短い場合は、賃貸による収益メリットと控除再開の遅れによるコストを慎重に比較しましょう。
A3. 金融機関への相談は「必須」です。無断で賃貸に出すことは、住宅ローン契約の違反にあたる可能性が非常に高く、重大なリスクを伴います。
ほとんどの住宅ローン契約には、「契約者本人がその住宅に居住すること」を義務付ける条項が盛り込まれています。これは、住宅ローンが「自己居住用」の住宅購入資金に対して、優遇された金利で提供されているためです。
金融機関に無断で賃貸すると、以下のリスクが高まります。
「転勤・海外赴任」は、金融機関にとってもやむを得ない事情と認められやすいケースです。まずは、転勤辞令が出た段階で速やかに借入先の金融機関に相談し、海外赴任中もローンを継続できるか、賃貸に出す場合の対応策(例:一時的な賃貸許可、契約内容の変更、借り換えの要否など)について指示を仰ぎましょう。
A4. 夫婦で連帯債務者として住宅ローンを組み、それぞれが住宅ローン控除を受けている場合、片方が海外赴任になったときの控除の扱いは、赴任する側と日本に残る側の状況によって異なります。
家族帯同で海外赴任する場合、赴任する側とその家族全員が自宅を離れるため、出国後は住宅ローン控除を受けられません。帰国後に再適用を受けるには、上述の通り適切な手続きが必要です。
一方、単身赴任で、もう一方の連帯債務者(配偶者)が自宅に住み続ける場合、 赴任する側が税法上の非居住者となるため、原則として出国後の住宅ローン控除は受けられません。ただし、2016年4月1日以降に住宅を取得している場合で、かつ、単身赴任中に日本国内に「総合課税の対象となる国内源泉所得」がある年分に限って、控除を受けられる可能性があります。
一般的な会社員の場合、海外赴任中の給与は現地での所得となるため、国内源泉所得がないケースが多く、実質的に控除を受けられない場合が多いです。
自宅に引き続き居住している限り、住宅ローン控除は継続して受けられます。連帯債務の場合、それぞれが自身の負担割合に応じた年末残高に対して控除を受けるため、片方の居住状況が変わっても、自宅に居住し続けている側は影響を受けません。
夫婦連帯債務の場合でも、基本的な住宅ローン控除のルール(居住要件、取得時期による単身赴任時の特例など)は適用されます。ご自身のケースで控除の継続可否や具体的な手続きについて不安があれば、必ず税理士や不動産業者などに相談しましょう。
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