一生住むつもりで購入したマンションでも、思いがけない事情で手放さなければならないことがあります。たとえば、突然の転勤や離婚、家族の介護、ライフスタイルの変化による住み替えなどです。「住宅ローンを組んだばかりでも売れるの?」「買ってすぐ売却すると大きな損になるのでは…」と不安になる方も多いでしょう。
この記事では、購入したばかりのマンションでも売却できるのか、早期売却で損をしやすい理由、なるべく高く売るためのポイントを解説します。
結論から言うと、購入直後のマンションでも売却は可能です。法律や制度上、「〇年間は売ってはいけない」といった制限は基本的にありません。
「まだ住宅ローンが残っているのに売れるの?」と心配される方も多いですが、ローンが残っていても売却できます。
ただし、売却の際には金融機関の「抵当権」を抹消する必要があり、そのためには住宅ローンを完済しなければなりません。売却代金でローンを完済できれば問題ありませんが、購入直後はローン残高が大きく残っています。さらに築浅中古として評価されるため価格が下がりやすく、結果として売却額がローン残高や総支払額を下回ってしまうケースも少なくありません。
購入したばかりのマンションを売却する場合、「売れるかどうか」よりも「どれだけ損を抑えられるか」が大きなポイントになります。とくに購入から数年以内の早期売却は、次のような理由で損失が出やすい傾向があります。
新築マンションには、いわゆる「新築プレミアム」が価格に上乗せされています。販売時には広告費やモデルルームの設営費なども含まれているため、実際の市場価値より高めに設定されているのが一般的です。
ところが、一度でも人が住めば、たとえ数カ月しか経っていなくても「中古物件」として扱われます。その時点で市場評価は「築浅中古」となり、価格が数百万円単位で下がることも珍しくありません。
マンションの購入時や売却時には、それぞれに諸費用がかかります。
これらを合わせると、数十万円から100万円以上の出費になることもあります。購入してすぐに売却する場合は、こうした費用が短期間で二重にかかるため、「結局、手元に残るお金がほとんどない…」という結果になることもあります。
住宅ローンは返済初期の数年間は利息の割合が多く、元本があまり減りません。そのため、購入から1〜2年程度ではローン残高が購入価格に近いまま残っているケースがほとんどです。
一方、売却価格は「中古」として評価されるため、新築時より値下がりしているのが一般的です。結果として、売却価格よりローン残債のほうが多い「オーバーローン」に陥りやすくなります。この差額は自己資金で補う必要があるため、大きな負担となります。
売却で損失が出た場合は譲渡所得税はかかりませんが、利益が出た場合には「譲渡所得税」が発生します。ここで大きなポイントになるのが「所有期間」です。
| 所有期間 | 税率(所得税+住民税) |
|---|---|
| 5年以下(短期譲渡) | 約39% |
| 5年超(長期譲渡) | 約20% |
このように、購入から5年以内に売却すると税率はほぼ倍になります。さらに「復興特別所得税」も加わるため、利益が出ても手元に残る金額は思ったより少なくなる可能性があります。
購入してすぐに売り出されたマンションは、買い手に「ご近所トラブルがあるのでは?」「欠陥や騒音など、言いづらい理由があるのでは?」と疑われやすくなります。こうした印象は、購入希望者がつきにくくなる要因となりますし、値下げ交渉も受けやすくなります。
「転勤のため」など納得感のある理由を提示すれば、買い手の安心感につながり、印象を大きく変えられるでしょう。
購入したばかりのマンションを手放す理由が「転勤」や「親の介護」など一時的なものであれば、売却せずに賃貸に出す方法も検討できます。
賃貸に出せば家賃収入を得られるため、その分を住宅ローンの返済に充てることができます。毎月の返済をすべてまかなうのは難しくても、負担を軽くすることはできるでしょう。
管理の手間についても、賃貸管理会社に依頼すれば、入居者募集から契約、家賃回収、トラブル対応まで代行してくれるため、大きな負担にはなりません。数年後に転勤から戻った際には、再び自宅として住み続けられます。「資産を手放さずに済む」という点は、賃貸という選択肢ならではのメリットです。
「住宅ローンが残っていると賃貸には出せないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、金融機関に相談すれば認められる場合があります。
ただし、無条件にOKが出るわけではなく、転勤や親の介護などやむを得ない事情で住めなくなったケースに限られます。さらに「数年後には戻る予定がある」といった一時的な賃貸利用が前提です。まずは住宅ローンを借りている金融機関に事情を説明し、相談してみるとよいでしょう。
また、賃貸に出す際には「普通借家契約」と「定期借家契約(リロケーション)」の2種類があります。一般的な「普通借家契約」は更新を前提とするため、貸主の都合で解約するのは難しくなります。数年後に戻る予定がある場合は、更新のない「定期借家契約(リロケーション契約)」を選びましょう。これなら契約期間が終了すればスムーズに自宅に戻ることができます。
「購入したばかりだけど、今後住む予定がなく売却したい」という場合は、次のポイントを意識してみましょう。
まずは複数の不動産会社に査定を依頼することから始めましょう。1社だけの査定では、その金額が高いのか低いのか判断できません。最低でも2〜3社に依頼して相場感をつかむことで、適正な売り出し価格を設定しやすくなります。
また、不動産会社によって得意とするエリアや販売力が異なるため、比較して選ぶことが重要です。
「購入してすぐ売るなんて、何か問題があるのでは?」と買い手が不安に思うのは当然のこと。そのため、売却理由は正直に、かつ前向きに伝えることが大切です。
たとえば「転勤のため」「家族の介護のため」といった理由なら、買い手にとって納得しやすく安心感があります。一方で「間取りが気に入らない」などネガティブな理由は、必要以上に不安を与えるので避けたほうがよいでしょう。
不動産は売却のタイミングによって、売れやすさが大きく変わります。とくに引っ越し需要が高まる1〜3月や9月前後は買い手が増えるため、短期間での売却につながりやすい時期です。
また、金利動向や景気の影響も相場に反映されるため、急いでいない場合は相場の動きを見ながらタイミングを検討すると良いでしょう。
実際に買い手が物件を見に来る「内覧」では、第一印象が成約を左右することも少なくありません。掃除を徹底して清潔感を出すのはもちろん、不要な家具や荷物を片付けて空間を広く見せる工夫も効果的です。とくに水回りは清潔さが印象を大きく左右します。
さらに、カーテンを開けて自然光を取り入れる、換気をして空気を心地よくするなど、ちょっとした工夫で印象はぐっと良くなります。
「どうしてもローン残債を返済できない」という状況では、任意売却という方法もあります。これは金融機関と相談し、競売にかけられる前に売却する仕組みです。競売より高値で売れる可能性があり、損失を最小限に抑えやすいのが特徴です。
また、不動産会社によっては「一定期間売れなかったら自社で買い取る」という買取保証制度を用意している場合もあります。売却が長引く不安を減らしたい方にとっては心強い選択肢になるでしょう。
購入したばかりのマンションでも売却は可能です。ただし、購入直後の売却は「新築プレミアムの消失」「諸費用の二重負担」「オーバーローンのリスク」など、損をしやすい条件が重なりやすい傾向があります。
そのため、売却だけでなく「一時的に賃貸に出す」といった方法も視野に入れ、自分にとって最適な選択肢を見極めることが大切です。
売却を選ぶのであれば、複数の不動産会社で査定を受けて相場を把握し、売却理由の伝え方や売り出すタイミングを工夫してみてください。そうすることで、少しでも有利に取引を進められるでしょう。
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