「念願のマイホームが完成し、入居したばかりなのに売却しなければならない…」
そのような状況は、精神的にも金銭的にも大きな負担を感じるものです。
転勤や離婚、家族の事情、あるいは「実際に住んでみたら環境が合わなかった」など、理由はさまざまでしょう。
しかし、新築戸建ての売却は「損をする」リスクが高いのが現実です。「まだ新しいから高く売れるはず」という期待だけで動くと、後悔することになりかねません。
この記事では、新築戸建てを売却する際に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
まず押さえておきたいのは、どれだけ建物が新しくても、一度でも入居の実績がつくとその家は「中古戸建て」として扱われるという点です。
日本の不動産市場では「新築」というブランドに特別な価値が置かれています。「未入居」の状態であれば新築と同等の評価を受けられることもありますが、たとえ入居期間が数ヶ月であっても、中古扱いになれば価格が下がるのが一般的です。
新築住宅の販売価格には、建物自体の価値だけでなく、不動産会社の広告宣伝費や人件費、モデルハウスの運営費などが上乗せされています。これがいわゆる「新築プレミアム」です。
しかし、中古物件として売却する際は、この上乗せ分は評価の対象になりません。純粋な土地と建物の価値だけで判断されるため、購入価格から1〜2割程度、金額にして数百万円単位で価格が落ちることも珍しくありません。「鍵を回した瞬間に価値が下がる」と言われるのは、このプレミアム分が消失するためです。
新築直後の売却において、もっとも強力なライバルとなるのが、近隣で販売されている「新築分譲住宅」です。もし同じエリアや分譲地内に売れ残っている新築物件がある場合、検討者は必ずそちらと比較します。
「価格がそれほど変わらないなら、誰も住んでいない新品がいい」「仲介手数料のかからない新築(売主直売)のほうが得だ」と判断されやすいため、中古物件は価格を大きく下げるなどの対策をしない限り、選ばれにくいという厳しい現実があります。
新築戸建ての売却は、次のような理由で損失が出やすい傾向があります。新築直後の売却で、もっとも注意すべきなのは「売却しても住宅ローンが返しきれない」というリスクです。
購入時に頭金を抑え、物件価格の全額に近いローン(フルローン)を組んでいる場合、売却価格がローン残高を下回る「オーバーローン」になる可能性が極めて高くなります。
前述の通り、売却価格は購入価格より下がりますが、ローン残高はまだほとんど減っていません。
家を売るためには、ローンを完済して金融機関の抵当権を抹消する必要があります。もし売却代金で完済できない場合は、不足分(数百万円単位になることもあります)を補填しなければならず、それが用意できなければ「売りたくても売れない」という事態に陥ってしまいます。
不動産の売買には、物件価格以外にも多くの諸費用が発生します。
購入してすぐ売却するということは、これらの諸費用を短期間で二重に負担することを意味します。たとえ物件が高く売れたとしても、諸費用を差し引くと手元に残るお金がマイナスになるケースは少なくありません。
ごく稀なケースですが、地価の急騰などで購入時より高く売れ、利益(譲渡所得)が出ることもあります。しかし、ここでも所有期間が大きな壁となります。
下記の表の通り、所有期間が5年以下の不動産を売却して得た利益には、「短期譲渡所得」として高い税率が課せられます。
| 所有期間 | 税率(所得税+住民税) |
|---|---|
| 5年以下(短期譲渡) | 約39% |
| 5年超(長期譲渡) | 約20% |
「せっかく高く売れて利益が出たのに、4割近くを税金として納めることになった」という結果になり、手元に残る金額は想定よりも少なくなってしまいます。
「せっかく建てた新築を手放したくない」「売却するとオーバーローンで数百万円の赤字が出てしまう」といった悩みを抱えているなら、売却を選ばず「賃貸に出す」ことを検討してみるのも一つの手です。
転勤など、数年で自宅に戻ってくる可能性がある事情であれば、賃貸は非常に有効な解決策となります。家賃収入をそのまま住宅ローンの返済に充てれば、毎月の家計の持ち出しを最小限に抑えつつ、愛着のある我が家を手放さずに済みます。
また、最新の設備が整った新築戸建ては、賃貸市場において非常に需要が高く、スムーズに借り手が見つかりやすいのも大きな強み。「今売ると大損してしまうが、数年待てば状況が変わるかもしれない」という場合には、一度賃貸に出して様子を見るという判断も有力な選択肢となるでしょう
「住宅ローンが残っている家を他人に貸してもいいのか」という点は、多くの方が不安に感じる部分でしょう。
原則として住宅ローンは「契約者本人やその家族が住むこと」を条件とした融資です。そのため、金融機関に無断で賃貸に出すことは契約違反にあたり、最悪の場合はローンの残債を一括返済するよう求められるリスクもあります。
しかし、転勤や親の介護といったやむを得ない事情があり、将来的に戻ってくる意思が明確な場合には、金融機関への相談次第で柔軟に対応してもらえるケースもあります。無断で貸し出したりせず、現在の状況を正直に伝えて、どのような選択肢があるを相談してみるとよいでしょう。
賃貸に出すと決めた際、もっとも注意が必要なのが契約の種類です。
日本の一般的な普通借家契約では、借主の権利が強く守られているため、たとえ「自分が戻ることになったから家を空けてほしい」と伝えても、貸主側の都合だけで退去してもらうことは非常に困難です。
そこで、数年後に自宅に戻る予定がある場合は、契約期間があらかじめ決まっている「定期借家契約(リロケーション契約)」を選びましょう。この契約形態であれば、期間満了とともに確実に契約が終了するため、トラブルを避けてスムーズに自宅へ戻ることができます。
留守中の管理や入居者対応もリロケーション会社(留守宅管理会社)に任せられるため、遠方にいても安心です。
「将来的に戻る予定がない」など、売却を前提に動く方も多いでしょう。高値で売却するためには、新築ならではの強みを最大限にアピールする戦略が必要です。
売却を決めたら、まずは1社だけに絞らず、必ず複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。不動産会社によって得意な分野やエリアは異なり、提示される査定額に数百万円単位の差が出ることが珍しくないからです。
複数の査定結果を比べることで、自分の家の「適正な相場」が見えてきます。また、単に高い金額を提示してくれる会社を選ぶのではなく、「なぜその価格なのか」「競合する新築物件とどう差別化して売っていくのか」といった具体的な戦略を提案してくれる、信頼できるパートナーを見極めることが大切です。
新築物件ならではの設備の充実度は、積極的にアピールしましょう。特に注文住宅やこだわりを持って選んだオプションは、中古市場において強力な武器になります。
たとえば、後付けすると高額な費用がかかるカーポートやウッドデッキなどの外構、グレードアップしたキッチン、太陽光パネル、床暖房、特注のカーテンレールな大切なアピールポイントです。「新築物件を自分で建てるより、この家を買うほうが装備が充実していてお得だ」と感じてもらうことが、価格競争で負けないためのポイントです。
購入検討者は、あなたの家を「ほぼ新築」という期待を持って内覧に訪れます。そのため、少しでも生活感が残っていると「イメージと違う」「やはり中古だ」と印象を下げてしまい、購入意欲にブレーキをかけかねません。
居住期間が短くても、水回りの水垢や床の小さな傷は意外と目につくものです。内覧の前には不用品を徹底的に片付け、モデルルームのような状態を目指しましょう。場合によってはプロのハウスクリーニングを依頼し、新築同様の輝きを取り戻しておくことも、高値売却を実現するための必要経費といえます。
戸建ての売却で損失を抑えるためには、時間に余裕を持って進めることも欠かせないポイントです。「早く手放したい」という焦りから売り急いでしまうと、購入希望者からの大幅な値引き交渉に応じざるを得なくなるなど、不利な条件で契約してしまうリスクが高まります。
住まいは高額な買い物になるため、検討者側も慎重になります。納得のいく価格で買ってくれる良縁を待つためには、少なくとも3ヶ月から半年程度の期間を見込んでおきましょう。
新築戸建ての売却は、新築プレミアムの消失や諸費用の二重払いにより、どうしても金銭的な損失が出やすいのが現実です。
まずは「本当に今、売却するべきか」を一度冷静に考えてみましょう。もし転勤や介護などの一時的な事情であれば、賃貸(リロケーション)に出すのがおすすめです。
一方で、将来を見据えて「売却」という決断を下す場合には、近隣の新築物件との差別化を意識し、設備や状態の良さをアピールすることが鍵となります。信頼できる不動産会社を見つけ、少しでも有利な条件で次のステップへ進めるよう準備を整えましょう。
当メディアは1975年に創業したZenken株式会社が運営・制作しています。WEBマーケティング戦略やメディア制作・運用のノウハウなどのサービス提供し、8,000以上のサイトを構築。
不動産業界のサイト制作数も多く、今回は転勤者にとっての心強い味方である“リロケーション”の認知向上のためのメディアを、「住まいの情報館(株式会社D2)」監修の元、制作しました。
転勤の辞令が出て、悩みを抱えるご家族の力になれば幸いです。