「実家を相続したが、今のところ住む予定がない」「でも、思い入れのある家だから手放したくない」「もしかしたら、自分が住むかもしれない」といった理由で、実家の売却を躊躇している方も多いでしょう。しかし、空き家のまま放置するのはさまざまなリスクがあります。
こちらでは思い入れのある実家をできれば売りたくないと考えている人に向けて、空き家のまま放置する注意点や売却せずに活用する方法を紹介します。
株式会社AlbaLinkが男女803人を対象に行った「空家の活用方法についての意識調査」によると、アンケートに回答した約半数の人が、実家が空き家になった場合「売却する」と回答しました。しかし、「そのままにする」という回答が29.0%、さらに「賃貸に出したい」と答えた人が14.3%おり、「実家を売りたくない」と考える方が決して少なくないことがわかります。
「そのままにする」と回答した方の理由では、「思い入れがあり、売却や賃貸には出したくないから」「将来的に使う可能性があるから」「解体には費用がかかるから」などが多く挙げられていました。
また、「賃貸に出したい」と答えた人の理由としては、「家賃収入が欲しいから」「将来的に自分や家族が住むかもしれないから」「思い入れがあるので完全には手放したくないから」などがあります。
しかし、実家を空き家のまま放置すると、以下のようなリスクが発生する可能性があります。
人が住まなくなった家は、想像以上のスピードで傷んでいきます。特に木造住宅は、季節の変化や風雨に対して強くないため、メンテナンスを怠ると一気に老朽化が進んでしまいます。
建物を健全に保つためには、適切な換気を行い、水回りを定期的に使用して配管を維持し、庭の手入れや建物の補修をこまめに行う必要があります。
長期間空き家を放置すると、敷地内にごみが溜まったり、雑草が伸び放題になったりして、景観を悪化させてしまいます。さらに、敷地外に草や木の枝が伸びたり、古木が道路に倒れたりして、近隣住民に迷惑をかけるかもしれません。
また、空き家は人の気配がなく静かで暗いため、害虫や野生動物にとっては格好の住みかとなります。ネズミやゴキブリなどの害虫が侵入して繁殖することや、アライグマや野良猫などの動物が入り込むこともあります。建物が損傷するリスクが高まるうえ、近隣住民にも被害が及ぶ可能性もあります。
人の気配がない建物は、犯罪の標的になりやすいものです。家具などがそのままになっている場合は、空き巣被害に合うかもしれません、また放火されるリスクもあります。放火は建物を全焼させるだけでなく、近隣の住民にも大きな被害をもたらすため、非常に危険です。
また、知らずのうちに犯罪者の拠点にされてしまうケースもあります。過去には空き家で大麻が栽培されていたという事件もありました。犯人は空き家の敷地内で大麻を栽培し、密売していたそうです。このような事件に巻き込まれると、「犯罪に関与した」と疑われる可能性もあります。
これまで紹介したリスクが実際に発生した場合、空き家の所有者に責任が及び、損害賠償を請求される場合もあります。
例えば、害虫や害獣が発生して近隣住民に迷惑をかけた場合や、外壁や屋根が崩れて人にケガをさせた場合、地震や水害で破損した建材が他人の敷地に流れ込んだ場合など、空き家を放置して第三者に損害を与えた場合には、所有者が責任を負わなければなりません。
長期間放置された空き家は「特定空家」に指定されることがあります。特定空家とは、放置することで周辺環境に悪影響を及ぼす恐れがあると判断された空き家のこと。特定空家に指定されると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなります。
通常、住宅が建っていれば減額措置が適用され、固定資産税が最大6分の1に軽減されますが、特定空家に指定されるとその軽減措置がなくなり、固定資産税が最大6倍にで跳ね上がることもあります。さらに、建物の状態によっては強制的な解体命令が出されるケースもあります。
実家を売りたくないけれど管理が難しい…という方には、賃貸として活用する方法がおすすめです。賃貸に出すことで、実家を残したまま、毎月安定した賃貸収入を得ることができます。
ただし、普通の賃貸契約では、貸主の都合で一方的に退去を求めることはできません。そのため、将来的に自分が住む予定がある場合などは、契約期間を定めることができるリロケーションを検討すると良いでしょう。
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